- 2006-11-07 (火) 18:28
- 読み物
「膳(Zen)」で扱っているインタグコーヒーは、生産者と消費者の関係を大事にするオーガニック・フェアトレードコーヒーです。
コーヒーの栽培地、エクアドルのインタグ地方では日系企業による鉱山開発の波が押し寄せています。しかし、環境破壊をもたらす鉱山開発よりも、持続可能な方法で地場産業を育てていきたいという現地の人々の想いによって、森林農法によって森を守るコーヒーの無農薬有機栽培が行われています。
今日は、インタグコーヒーの現地レポートをご紹介します。
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インタグコーヒー紀行 VOL 4
緊急報告 カルロス・ソリージャさん宅への「襲撃」
(レポート 中村隆市・ウィンドファーム代表)
先々月(9月)、インタグコーヒーの産地を訪問してきました。数年前から生
産者が申請していた「有機栽培の認証」がようやく得られたり、優秀なアグロフォ
レストリー(森林農法)の技術指導員が増えたこともあって、有機コーヒーの生
産量が伸び、品質もさらに向上してきたため、皆さんにうれしい報告ができると
喜んでいました。ところが、帰国してまもなく、「カルロス・ソリージャさんの
自宅が、鉱山開発派らしき者たちに襲撃された」という報が届きました。
カルロスさんは、インタグコーヒー生産者協会(AACRI)を設立したメン
バーであり、インタグ地区の環境保護活動の中心人物です。私は、エクアドルに
行くと必ず彼の自宅に宿泊させてもらいます。

彼との出会いは、1999年に遡ります。インタグコーヒーの産地を初めて訪
問したとき、世界的にも貴重な熱帯雲霧林を歩き、30人程の生産者と語り合い
ました。「鉱山開発は、一時的には住民にお金をもたらすだろう。しかし、森林
を伐採して地下資源を掘ってしまったら、破壊された自然と重金属で汚染された
土地しか残らない。ここで生き続けることができなくなる。私たちは、この美し
い自然を子どもたちに残したいんだ」という熱い想いに触れることができました。
彼らは、鉱山開発から森を守るために、森林農法で栽培する有機コーヒーを適
正な価格で継続して買ってくれる相手を探し求めていました。「皆さんがつくっ
た有機コーヒーは、すべて買い取ります」という私の言葉を生産者の側で聞いた
辻信一さん(文化人類学者)は、「いきなり取引の話が成立してうれしかった反
面、中村さん、そんなことをもう決めちゃって大丈夫?」と思ったそうです。
「大変なことになるかもしれないけど、なんとかなる」という直感が私にはあり
ました。
1970年代後半から「生産者」と「消費者」のつながりを強める提携運動や
フェアトレードを続ける中で、とても重要なことに気づきました。それは「モノ
やカネとの付き合いではなく、人と人との付き合いができるかどうか。目先の利
益や個人的な利益で動かず、皆の幸せを考えて行動する人がグループの中心にい
るかどうか」それが、フェアトレードを成功させる鍵だと気づいたのです。
インタグには、それを絵に描いたような人がいました。カルロス・ソリージャ
その人です。森の中で家族と共に自給的な農を営み、私欲がなく、自然を愛し、
それを守るために淡々と活動する彼がいたからこそ、私は、インタグコーヒー生
産者協会との提携をその場で決断することができました。
9月にカルロス宅を訪問した私は、彼と愛妻サンディ、15歳の息子マルティ
ンと楽しい食卓を囲みました。そのとき、彼らとこんな話をしました。「豊かさ
のモノサシ」をGNP(国民総生産)などの「モノ・カネ重視」からGNH(国
民総幸福)のような「ココロ重視」に転換することができれば、未来世代のいの
ちや自然環境がもっと大事にされるだろう。
そもそも経済というものは、人間を幸せにするためにあるはずなのにGNP、
GDPというモノサシは、人々を不幸にしているのではないか。「何が私たちに、
本当の豊かさや本当の幸せをもたらしてしてくれるのだろうか」といった話をし
ました。そして、彼らに「ハッピーだと感じるときやハッピーだと思うこと」を
聞いてみました。
マルティン(15歳)
家族がいること。いっぱい本を読むこと。かっこいい犬を持つこと。いろんな
人が家に遊びに来てくれること。いっぱい虫がいる所に住めること。旅行するこ
と。世界中のすべての人が、ここみたいに自分を受け入れてくれるコミュニティ
を持つこと。過去に犯した間違いを未来に繰り返さないこと。
サンディ
本当に幸せなのは、自分のことだけでなく他者のことを考え実行すること。
自分の村や国だけでなく世界のことを考えるようになること。毎日、いろいろな
(多様な)時間を持つこと。手づくりのものをつくること。畑仕事をすること。
散歩をすること、散歩する森や山道があること。自分で食べ物をつくること。
カルロス
好きなことをする時間があること。健全でつよいコミュニティの強いつながり。
きれいな環境。森があって、鳥がいる所に住めること。家族といい関係を持つこ
と。インタグが、鉱山会社が入る前の状態に戻ること。人間と自然が親しくなる
こと。
この話をしているとき、カルロスファミリーにはハッピーな笑顔がありました。
それから3週間後に鉱山開発派らしき者たちによってカルロス・ソリージャさん
の自宅が「襲撃」されたのです。幸い、カルロスさんが自宅にいなかったため、
ファミリーは全員無事でした。以下は、現地の環境団体から報告(要約)です。
***
10月17日朝、6時半、自称警察と名乗る、ピストルと機関銃を手にし、完全武装
した10名ほどの男たちがカルロス・ソリージャ家に到着した。ある者は制服を着
用し、2名はスキー・マスクをかぶってきた。その20分後、検察官を自称する別
の人間が堅く捜索令状を持ってやってきた。彼らは、ソリージャの元で何年も働
いているロベルト・カストロの家を捜索した。 ロベルトは、身分証明書の提示
を要求した。しかしそれは叶えられなかった。カルロスはそのとき自宅におらず、
彼の行方は現在わかっていない。カルロスの妻のサンディとその息子のマーティ
ンは、家におり、その警察の男たちが自宅に押し入り、捜索するのを見ていた。
彼らは、カルロスのベッドルームと書斎をめちゃくちゃにした。マーティンによ
ると、その中の一人は特に凶暴で、マーティン、サンディ、そしてロベルトにわ
めいたり、押したりしていた。リーダーらしき男は、1時間したところで、ここ
には見つけるべきものはないと宣言し、どうやら他に行くところがあったらしく、
時間がないのでそちらに行くよう、仲間に伝えた。ちょうどその時、一番凶暴な
男がバッグを手に外に出てきて、その中にあった麻薬を指し、それを居間で、ま
た銃をマーティンの部屋で見つけたと主張した。そして、この怪しい警察官たち
は去っていった。
その他の目撃者たちは、その朝、サンタ・ロサ(カルロスが住むコミュニティー)
にやってきた警察官たちの多数の車のどれひとつにも、警察のしるしがついたも
のはなく、またすべての車にはナンバープレートがなく、そして一台の赤い車は
鉱山開発会社の所有の車であると書いてあったと証言した。
私たちは、このような暴力行為をやめさせるために国際書簡キャンペーンを開
始しなければなりません。それから、弁護士費用などにかかる経費への寄付も受
け付けています。
敬具、Sylvia M. Seger
***
詳しい情報を知りたい方は、ウィンドファーム(http://www.windfarm.co.jp)までお問い合わせ下さい。
弁護士費用などの寄付をされたい方は、以下の口座に「カルロスさんへの寄付」
と書いてお振り込み下さい。まとめてエクアドルに送金します。
<振込先:郵便口座>
加入者名:ワールドエコロジーネットワーク
口座記号:01750-7 口座番号:93698
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